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  • 2016.04.03 Sunday
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ジェントル・ジャイアント「オクトパス」



プログレ補講で実際に多くのプログレ・バンドのアルバムを聴いていると、「これぞプログレ」というよりは「これがプログレ?」と首を傾げたくなるような音楽が多かったのが意外だったのだが、今回紹介するジェントル・ジャイアントは「これぞプログレ」と言うべきもっとも「プログレらしい」バンドだった。つんのめる変拍子、ロジャー・ディーンのジャケット、バンド後期に次第にポップに日和っていくとこ(笑)など、これくらいプログレという音楽を語るのに見慣れたイディオムが揃うとさすがに「プログレらしい」と言える。

彼らの最高傑作とされる「オクトパス」。しかしタコて(笑)。1stアルバムの妙なじいさんのイラスト(夢に出てきそうだ(笑))といい、こういう奇をてらったジャケ(ピンク・フロイドの「原子心母」とかね)というのもプログレらしいと言えばプログレらしい。このジェントル・ジャイアントというバンドは、プログレという音楽の座標平面においても特に技術軸の方向にベクトルの向いているバンドだと思うのだが、だからと言って全く情緒を廃している訳ではない。このアルバムの白眉とも言うべき「Think Of Me With Kindness」はキング・クリムゾン「Red」の「Starless」やヴァン・ダー・グラフ・ジェネレイター「World Record」の「Wondering」と並ぶプログレ史上に残る名曲。いやブリティッシュ・ロック史上に残る名曲と言っても過言ではないだろう。プログレのバンドということで聴かず嫌い(ちょっと前の僕のことだ(笑))でこの曲の存在を知らずにいる人がたくさんいるということが残念でならない。僕はこの美しい曲を聴くためになら、何度でもグロテスクなタコのジャケットと向き合うことも厭わない(笑)。

前述したがこのバンドは70年代前半に隆盛を極めた多くのプログレ・バンドと同じように、70年代後半には情けない3分ポップへとその音楽性を変貌させてゆく。多くの初期プログレ・ファンにとっては哀れな末路なのかもしれないが、ポップ方面からやって来たプログレ門外漢の僕にとっては彼らの後期のアルバムもそれはそれでなかなかに味わい深いと思える。これほどのバカテクの持ち主達がなにゆえこういう音楽をやらなきゃならんのか?という不条理はあるけどね。一流レストランの腕利きシェフがハンバーガー作るようなもんかな(笑)。でもやはり美味には違いないでしょ。

相手なりかも



最近でこそこんな風にプログレを聴いているけど、以前にも書いたように僕はもともと3分間のポップソングが大好きな人間なので、学生時代(もう20年近くも前のことだ)に所属していた音楽サークルではプログレ好きな友人たちにある意味見下されていた(笑)ようなところがある。あの当時彼らが薦めてくれたレコードや彼らが熱く語っていた言葉たちというのは、ポップソング好きな当時の僕にはまるで理解できないものだったけれど、あの時の記憶が今になって結構役に立っていたりするから人生というのは不思議なものである。

そんな当時の彼らがよく口にした言葉のひとつに「カンタベリー」というのがある。ものすごくかいつまんで言うと「イギリスのカンタベリー地方出身のアーティストによる音楽」ということになるのだけど(端折りすぎか(笑)。興味のある人は調べてください)、プログレというジャンルの音楽を聴くにおいて避けては通れないキーワードでもある。おそらくカンタベリー系の最重要アーティストはソフト・マシーンということになるのだろうけど、正直ソフト・マシーンは今の僕にはジャズに寄り過ぎていて敷居が高い(笑)。で、そのソフト・マシーンの前身バンド、ワイルドフラワーズから分裂して産まれたのがキャラヴァンである。初期のキャラヴァンは「聴きやすいソフト・マシーン」といった感じなんだが、彼らの最高傑作とされる「グレイとピンクの地」についてはいつか書いてみたいと思う。

そのキャラヴァンのリチャード・シンクレアがキャメルに参加することになったのは前回書いたが、それ以前に演っていたバンドが「ハットフィールド&ザ・ノース」である。このバンドの他のメンバーについては、僕が語るのもおこがましいと思われるので謙虚に割愛させていただく(笑)。これも興味のある人は調べてください。ハットフィールズの2ndアルバムがこの美しいアルバム・ジャケットの「ザ・ロッターズ・クラブ」である。プログレというジャンルの音楽を聴いていて楽しいことのひとつがそのアルバム・ジャケットの美しさを愛でることである。ヒプノシス(ピンク・フロイドなど)、ロジャー・ディーン(イエス、ジェントル・ジャイアントなど)、H.R.ギーガー(EL&P)は言うに及ばず、あまり有名ではないデザイナーのものでも美しいジャケット・デザインが多い。「プログレとは何ぞや」という、哲学的とも言うべき(笑)命題を解く条件のひとつとして「アルバム・ジャケットの美しさ」を入れてもいいのかもしれない。何せ僕はポップ・ソング好きな人間なので、よく目にするジャケットはEL&Pの「ラヴ・ビーチ」みたいなのが多いもんで(笑)。

EL&P「ラヴ・ビーチ」(笑)。でもアルバム自体は一番好きかもEL&P「ラヴ・ビーチ」(笑)。でもアルバム自体は一番好きかも


肝心の内容はソフト・マシーンのジャズ・ロックな部分とキャラヴァンのポップな部分を絶妙にブレンドさせた心地よい音。プログレというキーワードから辿り着いたはずなのだけれど、これもやはり前回のキャメル同様もはやプログレではないんじゃなかろうか?冒頭の「シェア・イット」なんか聴いてると、80年代UKのオレンジ・ジュース、アズテック・カメラ、ザ・スミス以降のいわゆる「ネオアコ・ムーヴメント」に影響を与えたのかもしれないな、とも思う。あと美しく澄み切った女性コーラスは同じヴァージンのレーベルメイトであるマイク・オールドフィールドを思い出したりもする。

今になって僕が熱心にプログレを聴いていることを知ったら、あの頃の友人たちは驚くだろうか?いや、笑うのだろうな、きっと(笑)。

時に大駆けが



プログレをめぐる旅の過程で前回書いたヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーターに出会って「歌モノプログレ」に味をしめた僕は、「叙情派プログレ」なるキーワードの元にキャメルとキャラヴァンという紛らわしい名前の二つのバンドにめぐり会うこととなった。今回はキャメルの話。

彼らのデビューはプログレ全盛の70年代前半。1stアルバム「Camel」や2ndアルバム「Mirage」を聴いていると、確かに「叙情派プログレ」の名のとおり、多少フュージョン寄りの演奏とメロウな歌が実に心地よい。「もっとインストパートが長くてもいいのに」と思えるくらいで、僕もプログレの世界に随分と深く足を突っ込んでしまったようだ(笑)。キャメルに限らずプログレ系のバンドを聴いていると、今まで自分が音楽を聴くにあたって「演奏技術」というものにいかに無頓着であったか、ということを思い知らされる。たかがロックミュージックに演奏技術なんてものは必要ない、くらいに思ってたんだが、優れた演奏というものがこんなに心地よいものだとは思わなかった。

ただこのキャメルなんかがまさにそうなのだが、プログレ系のバンドというのはこと「演奏技術」に関しては文句の付けようがないバンドが多いのだけど、やはり「ヴォーカル」だけはイマイチなのだ。まあプログレ聴くのに歌にケチ付けんなよ、ってことなんだけどさ(笑)。その点イエス(ジョン・アンダーソン)やキング・クリムゾン(ジョン・ウェットン)なんてのはプログレバンドの中では別格なんだな、と思う。まあJ・アンダーソンの場合はその声の存在感が圧倒的すぎて、もう上手いとか下手とかいう次元の問題ではなくなってるんだけど(笑)。ただイエスはサイモン&ガーファンクルやバーズのカヴァーも演ってるくらいでバックのコーラス隊も上手(ビーチボーイズの影響を受けている数少ないプログレバンド)。グレッグ・レイク(キング・クリムゾン〜EL&P)なんかのヴォーカルもまあ頑張っている方だろう。

前置きが長くなったが、この78年にリリースされたキャメルの8thアルバム「Breathless」では、キャラバンからリチャード・シンクレアという優れたヴォーカリストを迎え入れたことにより、彼らの唯一の弱点である「ヴォーカルの弱さ」という問題点が解消された1枚。78年という時代を反映してか演奏はさらにフュージョン色を強め、楽曲はAOR寄り。彼らの特徴であるメロウな側面がより強調されたアルバムである。ここまでくると、これはもはや「プログレ」ではないのかもしれない(笑)。しかし「プログレ」というキーワードがなければただのポップソング好きの僕がこの素晴らしい「ポップアルバム」(と言い切ってしまおう)にめぐり会うことはおそらくなかった訳で。先日書いたマシュー・フィッシャー同様、これもまたひとつの「セレンディピティ」か。

このアルバムで印象的なサックスを聴かせてくれているメル・コリンズはセッション・ミュージシャンとしての認識しかなかったのだけど、この人ももともとプログレの人なのね。キング・クリムゾンの「アイランド」で聴かれる黄昏れたトランペットと、アルバム「レッド」での名演は彼のベストパフォーマンスのひとつだろう。

先日「音楽のカテゴライズに意味なんかない」と書いたけど、一般に「プログレ」と呼ばれる音楽を色々聴き進めていくうちに思ったのは、「プログレ」なんていう音楽カテゴリーは実は存在しないんじゃないか?ということ。一言でまとめるにはその音楽性の振幅があまりに広汎すぎる。では果たして「プログレ」とは何なのか?それは我々聴く側の「こころの在り様」の問題なのかもしれない。なんてね(笑)。

格上をアオり



前回「プロコル・ハルムもプログレにカテゴライズされることもある」と書いたが、組曲形式の長尺の曲があったり、マシュー・フィッシャーの弾くオルガンが印象的だったり(プログレをいろいろ聴くようになって初めてプログレという音楽にとって「オルガン」がひとつのキーワードであることを知った)、ドラムスのB.J.ウィルソン(故人)のプレイがおかずを多用するバカテクだったり(J.ボーナムの替わりにレッド・ツェッペリンに加入するはずだったらしい)、よく考えればまあプログレ的要素は満載のバンドではある。

ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーターというバンドはピーター・ハミルの歌が引っ張っていってくれるので、根が3分間のポップソング好きの僕にも(笑)聴きやすいプログレ・バンドである。ハミルの鬼気迫るヴォーカルがジョニー・ロットンに影響を与えたのは有名な話だが、たしかにその後(70年代後半〜90年代)のUKパンク・オルタナティヴロックシーンに大きな影響を与えたのかもしれないな、と思う。例えばスウェードなんかはてっきりデヴィッド・ボウイやロキシー・ミュージックなどグラムロックの真似事をやっているのだ、と思い込んでいたんだが、ブレット・アンダーソンのヴォーカル・スタイルはハミルの影響を相当受けているのだろう。それからハミルがビブラートを利かせてシャウトする裏でオルガンが鳴っていたりすると「ん?ディープ・パープルか?(笑)」なんて感じる瞬間もあって、キング・クリムゾンやEL&P同様ハードロック、メタルへ与えた影響も大きいだろう。あと僕の好きなアーティストではトッド・ラングレンなんかも、意外とハミルの影響を受けているのかもしれないと思った(特にユートピア期)。

音楽的にはヒュー・バントンの荘厳なオルガン、ガイ・エヴァンスの暴れまわるドラムス、デイヴ・ジャクソンの攻撃的なサックスがいかにもプログレらしいスリルと緊張感。乱暴な言い方をすれば、キング・クリムゾンの「21世紀のスキッツォイドマン」の世界を敷衍したもの、ということになるかもしれない。初期のアルバムでは御大ロバート・フリップも参加しているのだが、フリップのギターが聴こえてくるところで否が応でもテンションが上がってしまう。惜しむらくはこのバンドに優れたギタリストがいなかったことか(ハミルも弾いてはいるが申し訳程度)。

「ワールド・レコード」は76年に発表された彼らの7枚目のアルバム。ラストに収録されたあまりに美しい名曲「WONDERING」で得られるカタルシスは、キング・クリムゾンの「STARLESS」で得られるそれと同質のものであろう。僕は「STARLESS」をこの世の最後の夜に聴きたい。そして「WONDERING」を生まれ変わった日の朝に聴きたい。

彼らの2ndアルバムのタイトルは「The Least We Can Do Is Wave To Each Other」。歌詞カードのハミルのコメントに引用として書かれてあるのでハミル自身の言葉ではないようだが、なかなかに気の利いたフレーズである。

「We're all awash in a sea of blood, and the least we can do is wave to each other」〜「我々はみな血の海を漂っているんだから、せめて手ぐらい振って別れようぜ」

世界の終わりとハードボイルド、ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーター。

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