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  • 2016.04.03 Sunday
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「Thank You Friends:The Ardent Records Story」

JUGEMテーマ:音楽


前回書いたビッグ・スターのボックスリリース以来、彼らが残した3枚のアルバムをまた繰り返し聴いているのだけれど、ちょうど20年前にめぐり会ってよく聴いていたアルバムを、今になってこうしてあの頃と同じように(あるいはそれ以上に)聴いているのだから、なんだか不思議なものである。しかしそれにしても2ndと3rdの生と死の対比には、そのあまりの鮮やかさにめまいがするほどである。20年前には僕もまだ若かったので(笑)3rdより2ndの方を好んで聴いていたが、この年にもなると(笑)3rdの音の方が胸にせまる。この3rdの持つ音楽性にはストーンズの「ワイルド・ホーシズ」でピアノを弾いていたというプロデューサー、ジム・ディッキンソンの貢献度が大きいのだろう。

前回触れた100ページにも及ぶ読み応えあるブックレットは、ビッグ・スターが所属したアーデント・レコードの創始者であるジョン・フライのメッセージで始まる。

「1968年のある日、私がオフィスに入るとまだ10代そこそこと思える若者が、ブーツを履いた脚を机の上に投げ出して、タバコをくわえて私の椅子に座っていた。それがクリス・ベルだった」
「(2008年のビッグ・スターのイギリスでのライヴの際)私は会場近くのインド料理店で友人と食事をしていたんだ。隣のテーブルには10代の女の子とその両親と思しき家族が座っていた。しばらくしてその父親が私に近づいてきて訊いた。『すみません。お話が聞こえてきたのですがあなたたたちはビッグ・スターのことをしゃべってましたよね?私たちもこのライヴを見に来たんですよ。家族全員ビッグ・スターの大ファンなんです。彼らのことを何かご存知なんですか?』私は答えた。『ええ、まあ少しだけ』」

音楽評論家のロバート・ゴードンは「知れば知るほど分からなくなる」と題した記事を寄せている。

「(2ndアルバムには)『セプテンバー・ガールズ』という珠玉の逸品が収録されている。パワーポップの代表曲と言ってもいいだろう。晴れた日ならいつでもいい、『セプテンバー・ガールズ』をかけてみるといい。歓喜の歌は君に笑顔をもたらすことだろう」

「偉大なる聖戦:ビッグ・スター・カルトの誕生」と題した記事の冒頭で音楽評論家のボブ・メーヤーは言う。

「彼らが語るとき、その言葉は信者の熱き言葉である。そこには恍惚があり、聖戦があり、福音がある。世界に広まる前に己の信心を教義に注いだ初期のキリスト教徒にも似ている。それがビッグ・スターのファンであった」

同じ記事の中にはdB'sのピーター・ホルサップルやR.E.M.のピーター・バックら「ビッグ・スター教団の信者」のコメントがあるのだけれど、ピーター・ホルサップルの語るエピソードが面白い。

「個人的にはビッグ・スターは僕にとってのリトマス試験紙だったんだ。実際よく2nd『レイディオ・シティ』でガールフレンドにテストしたものだよ。ある女の子は『レイディオ・シティ』を聴いてこう言ったよ。『アメリカ(『名前のない馬』のヒットで知られるバンド)に似てるわね。ちょっと声が高すぎるけど』。もちろん速攻で彼女を追い返したよ(笑)」

記事の最後はビッグ・スターのオリジナル・メンバーでありドラマーのジョディ・スティーヴンスのコメントで締められている。

「ここ数年で多くの人たちがビッグ・スターを認知してくれて愛してくれたことは、ビッグ・スターに対する『残念賞』みたいなものだと思うんだ。とてもいい意味でね」とジョディは語る。「確かにあの頃これくらいブレイクしてたらよかったのに、とは思うよ。でもね、30年以上も経った今、こうしてビッグ・スターはライヴ活動を続けていて、我々の音楽は映画のサウンドトラックに使われたりして、若い人たちが今なおビッグ・スターのレコードを見つけて興奮している。それを『成功』と言わずして何と言うのか、ってね」

気になるのはやはり、というか案の定というか、ブックレットに肝心のアレックス・チルトンご本尊によるコメントが一切ないこと(笑)。ビッグ・スターの商業的な失敗をめぐるアーデント・レコード〜ジョン・フライとの確執は未だに続いているんでしょうかねえ。何でも3rdに収録された「Downs」という奇妙で不可解でふざけたアレンジ(笑)の楽曲は、この曲のデモを聴いたジョン・フライが「いい曲だ」と言ったのでそれに対する反発心からああいうふざけたアレンジに破壊されたそうで(壊れる前のデモ・ヴァージョンはこのボックス・セットで聴くことができる)。

前回書いたけどクリス・ベルによるビッグ・スターの前身バンド・アイスウォーターの「All I See Is You」は本当に名曲である。僕はかねてからクリス・ベルの音楽にビッグ・スターと同じパワーポップの代表格でアップル・レコードのビートルズの弟分であるバッドフィンガーとの共通性を見出さずにはいられない(両者ともビートルズではポールやジョンというよりはジョージが持つもの哀しげなポップセンスに近い)のだけど、この曲なんかもバッドフィンガーの「マジック・クリスチャン・ミュージック」のアウトテイクだ、と言われても全く違和感がないくらいである(実際ビッグ・スターはバッドフィンガーの全米ツアーのオープニング・アクトを務めている)。その音楽性のみならず商業的な失敗の後、非業の死を遂げてしまう(クリス・ベルは交通事故死、バッドフィンガーはメンバー2人が自殺)バイオグラフィーも奇妙に似ている。

惜しむらくはせっかくこれだけのレア・トラックスを収録するのであれば、アレックス・チルトンのあまりに美しすぎる未発表ソロ曲「The EMI Song(Smile For Me)」は外してほしくなかったな、ということ。この曲はアレックス・チルトンの未発表音源集「1970」が初出なのだけれど、これは既に廃盤で入手困難なので、興味のある方は去年リリースされた「Thank You Friends:The Ardent Records Story」というアーデント・レコードのオムニバス盤で聴くことができます。2枚組で少々お高いですが、先のアイスウォーターの「All I See Is You」も収録されており、この2曲だけでも買ってよかったと思えます(笑)。さらには1分足らずの収録時間ではあるけど、僕のようなビーチ・ボーイズ・マニアなら悶え死に必至の(笑)アレックス・チルトンによる「Don't Worry Baby」のカヴァーなんてものまで収録されているからお買い得。

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  • 2016.04.03 Sunday
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  • 16:37
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コメント
遅ればせながら新年おめでとうございます。
年末年始はアソシエイションの「Windy」をヘビーローテーションで聴いておりました。何度も聴いていると、なぜかT.ジェイムス&ザ・ションデルズを思い出してしまったのですが、あの頃のグループの曲は似たり寄ったりのテンポが多いからでしょうか…。
アソシエイションといえば「Just About the Same」がカート・ベッチャーつながり…だからというわけではないですが、久しぶりにこちらに遊びに来てしまいました。

歌詞が若い歌がどんどん聴けなくなってくる年頃ですが(笑)今更ながらも「Windy」はよくできたポップ・チューンだと思うのです。色々な角度からみて。
A.ジルベルトのヴァージョンも好きでした。

今年もお元気で。またブログ更新してくださいね。
  • sentir
  • 2010/01/12 9:36 PM
こちらこそメール遅くなりましてすみません。

アソシエイションはいわゆるカート・ベッチャー・ワークスの中ではいかにも「らしく」て代表的ですよね。たしかに「Windy」はソフト・ロックというよりはのどかで無邪気なバブルガム・ポップス風で、トミー・ジェイムス連想するのもわかるような気が。

ジルベルトのカヴァーは知りませんでした。今度聴いてみたいです。年齢のことを言えば僕は今年が前厄なんですが(笑)、最近ではあえて景気づけというか栄養ドリンク代わりに(笑)普段はあまり聴かないハードなもの(グランド・ファンクとか。CMの「ロコモーション」きっかけで(笑)。まあトッド・ラングレン・プロデュースでなければ持ってなかったアルバムですが(笑))聴いたりしてます。

ブログは近々更新したい、と思います。では、また。
  • 豊満ランドオー
  • 2010/01/17 1:17 PM
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