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「夢みる人」ニッキー・ホプキンス

JUGEMテーマ:音楽




ニッキー・ホプキンスは60年代後半〜70年代にかけて、ブリティッシュ・ロックの数多くの名盤に演奏を残しているセッション・ピアニストである。ビートルズ、ローリング・ストーンズ、ザ・フー、キンクス全てのビッグネームと共演を果たしているのだから凄い。彼にまつわるエピソードとしては、ストーンズがかの有名なトイレの落書きのジャケのアルバム「ベガーズ・バンケット」で落書きの一つに「THANKS,NICKY」と特別な謝辞を送っていたり、キンクスは「セッション・マン」という彼について歌った曲を書いたり、など、当時のブリティッシュ・ロック界における「重要人物」だった訳である。更に面白いのはこれも大物ギタリストであるジェフ・ベック・グループに一時在籍した後、サイケ・フラワームーヴメントの最中にあったアメリカに渡り、ジェファースン・エアプレインやクイックシルヴァー・メッセンジャー・サーヴィス、スティーヴ・ミラー・バンドといったバンドたちとも共演したりしている。

「夢みる人(The Tin Man Was A Dreamer)」はそのニッキーが73年にリリースしたリーダー・アルバムで、実質的なファースト・アルバムにあたる。前回書いたストーンズの「シーズ・ア・レインボウ」でのピアノのあまりの美しさに心を奪われてしまったので、ネットでいろいろ調べているうちにこのアルバムの存在を知り、残念ながら既に廃盤で入手困難ではあったがオークションで何とか入手することができた。レコード・コレクターなんていう難儀な趣味をやっている人間には「実際に聴いたことはないがジャケットをよく見かけるレコード」というのがあって、この印象的なジャケの「夢みる人」なんかもまさにそういう我々の趣味の世界では有名なレコードだった。

しかしこのアルバムは何というアルバムなのだろう。冒頭の「サンダウン・イン・メキシコ」のイントロのピアノの一音から始まって、ラスト「ピッグズ・ブギー」まで、聴いていると全ての楽曲の全ての音が体中に染み込んでいくような感覚になる。それはちょうど音楽を聴きはじめた中学生の頃に感じていたあの瑞々しい感覚によく似ている。その感覚は様々な音楽をたくさん聴くようになり、年齢を重ねるにつれて次第に、宿命的に、失われていったものだった。しかしほんの偶然のきっかけから(詳細は前回までの記事参照)、僕はあの頃の感覚を思い起こさせてくれるような、何千枚ものレコードを聴いてきた僕の人生にとってかけがえのない素晴らしいアルバムにまたふたたび巡り逢うことができた。これをまさに僥倖というのだろう。

ニッキー・ホプキンス自身はミュージシャンとしてのジョージ・ハリスンを敬愛していたそうで、アルバム中の主題曲「夢みる人」あたりの繊細でもの哀しげなポップ感覚にその傾向は顕著である。あなたはポール派かジョン派か?と問われたのなら僕はもう断然ジョージ派だった訳で(笑)、こういう音楽性には僕は弱い。何でもこのアルバム「夢みる人」はジョージ・ハリスンのアルバム「リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド」と全く同時期に同じアップル・スタジオでレコーディングされた(平日にジョージのアルバム、週末にニッキーのアルバム、という具合に)そうで、確かに二つのアルバムの参加ミュージシャンは多くの部分で重複している。並べて聴くと「双子のアルバム」と言っても過言ではない。

ニッキーはこのアルバムの後75年に「ロック魂を永遠に(No More Changes)」というアルバムをリリースしているのだが、こちらは過去にCDリイシューすらされておらず、アナログ盤を見つけるのにかなり手こずったのだが何とか入手することができた。ニッキー・ホプキンスという人はその音楽性同様どうやら控えめで謙虚な人らしく(笑)寡作で、この「ロック魂を永遠に」でも自作曲は6曲のみで後はカヴァー曲という構成(「夢みる人」では全て自作曲だったが自らがヴォーカルを執っていたのはわずか4曲のみ)。僕なんかはビーチ・ボーイズのカヴァーが馴染み深いヒューイ”ピアノ”スミスの「シー・クルーズ」のカヴァーも楽しいが、何と言ってもポール・ウィリアムスのアルバム「サムデイ・マン」に収められた佳曲「モーニン・アイル・ビー・ムーヴィン・オン」(作曲はもちろんロジャー・ニコルズ)のカヴァーが秀逸。こうした隠れた名曲をピックアップする選曲のセンスまでもが素晴らしい(笑)。そしてまた随分と長く曲がりくねった道のりを経て、またしても僕の大好きなソフト・ロックの名曲に辿り着いてしまった、というのが何ともまたセレンディピティ(笑)。

もうひとつちょっと面白いな、と思うのは、90年代に入ってニッキー・ホプキンスは「逃亡者」「パテオ」「並木家の人々」など日本のTVドラマのサウンドトラックを手がけているということ。特に「逃亡者」は田原俊彦主演のアメリカのドラマのリメイクで、印象的なサスペンス・タッチの音楽もよく覚えている。

ニッキー・ホプキンスのアルバムを聴いていると、映画音楽のようなピアノのインストの小品があったり、繊細で優しくてか細い声でリード・ヴォーカルを執る美しいピアノ弾き語りのバラードがあったりと、どうしても僕の大好きなミュージシャンであるマシュー・フィッシャー(元プロコル・ハルム)のことを思い出さずにはいられない。クラシック音楽を土台にした英国の香り漂うその音楽性と、60年代後半〜70年代のブリティッシュ・ロック・シーンに深く関わったキーボード・プレイヤ−という点でもこの2人には共通項を見出せる。そんなことを考えながらニッキー・ホプキンスの「夢みる人」の裏ジャケを眺めていたら、そこに僕はあるものを見つけてしまった。「Tin Man Was A Dreamer」というタイトルにちなんでニッキー自身のブリキのコレクションが描かれているのだけれど、その片隅にそれはあった。





このブログの右のサイドバーの下の方、レコメンドをご覧ください。これもまた何というセレンディピティ(笑)。

次回はニッキー・ホプキンスの名演の数々が聴ける曲をいくつか紹介したいと思います。

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