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  • 2016.04.03 Sunday
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一定期間更新がないため広告を表示しています


Aviator/Aviator

JUGEMテーマ:音楽

遂にこれがCDリイシューかあ。いつもチェックしているディスク・ユニオンのオンライン・サイトのプログレ館「新着予約情報」ページに「世界初CD化!」のニュースを見つけて、久しぶりに興奮して速攻ポチりました(笑)。

僕にとってジャック・ランカスターというミュージシャンはジェスロ・タルつながりのブロッドウィン・ピッグなんかで気になる存在ではあったのだけれど、やはり何と言っても’81年にリリースされたソロ作「Skinningrove Bay」に尽きる。僕は例によって大好きなミュージシャンであるロッド・アージェントの仕事を辿っていた時にたまたまこのブリティッシュ・プログレ・ポップの名盤に巡り会ったのだけれど、このアルバムついてはまたの機会にきちんと書きたい。アージェントの他にもフィル・コリンズ、ゲイリー・ムーア、リック・ファン・デル・リンデン(元トレース)、ミック・ロジャース(マンフレッドマンズ・アース・バンド)、クライヴ・バンカー(ジェスロ・タル)など錚々たるメンツを迎えてロビン・ラムレー(ブランドX、ビル・ブラッフォードのソロなどで有名)プロデュースにより制作されたのだけれど、プログレ、ジャズ・ロック方面の方よりはむしろE.L.O.、10cc、スーパートランプ、パイロットあたりの正統派英国ポップ好きの方にオススメしたい。

その名盤とほぼ同時期(’79年)にリリースされ、同じロビン・ラムレーのプロデュースでメンバーもギターにミック・ロジャース、ドラムにクライヴ・バンカー、とかぶっている(ベースは元キャラヴァンのジョン・G・ペリー。この人もジャズ・ロック好きには重要人物ですね)ので、ぜひ一度聴いてみたいと思っていたのがこのAviator名義での唯一のアルバム。果たして実際に聴いてみたその内容は、これはもう期待通り、というか期待以上です。素晴らしい。いかにもこの時代らしいフュージョン風味のプログレ・ポップ、とでも言うべきか。ギタリストであるミック・ロジャースのマンフレッドマンズ・アース・バンドっぽくもある(ボブ・ディランのカヴァーもあり)。いちおう断っておくけどロビン・ラムレー・プロデュース、ということでブランドXやビル・ブラッフォードのソロ作のような超絶技巧のスリリングな応酬みたいなものを期待されるとそういうのは皆無です。その意味ではこれも同時期にリリースされたジャック・ランカスターとリック・ファン・デル・リンデン(元トレース)によるコラボ作「ワイルド・コネクションズ」に近いかもしれない。自分はオランダのトレースについては以前にも書いたフォーカスやカヤックから当然の帰結として辿り着いて一通り作品を聴いたのだけれど、個人的には世評の高い1st、2ndよりはややおとなしめの(僕の大好きなプロコル・ハルム的でもある)3rdの方が好きなんですよね。そのトレースのリックとジャック・ランカスターの「ワイルド・コネクションズ」も全体的には弛緩したフュージョン・プログレとも呼ぶべきものなので、こういうのを退屈に感じる人も多いのかもしれないけど自分は結構好きです。あと同時代の作品としてはこれも以前書いた僕の大好きなロイ・ウッドのWizzo Band名義のアルバム「Super Active Wizzo」にも近いものがあるかもしれない。

あとはプログレ方面でCDリイシューが待望されるアルバムの定番と言えばダンカン・マッケイの「スコア」あたりでしょうか。この人なんかも我々のようなポップス・マニアにとっては10ccの人、なんですが(笑)。

Heaven & Earth/Yes

JUGEMテーマ:音楽

前作「Fly From Here」から3年ぶりとなる新作。前作もこれだけの長いキャリア(僕のようなオッサンの年齢よりも長い(笑))を持つバンドの新作にしてはあまりにも完成度の高い力作だったので、それなりの期待感を持って聴きました。

結論としては、一言で言うと「ゆるい」ですね(笑)。前作では組曲形式の楽曲もあってプログレ・バンドとしてのそれなりにスリリングな展開もあった(そしてそれが決して年寄りの冷や水になっていなかった)のだけれど、新ヴォーカリストにアメリカのイエス・フォロワー・バンドであるグラスハマーのジョン・デイヴィソンを迎えて制作された今作は、そのデイヴィソンの歌に焦点を当てて短くコンパクトにまとまった歌モノの楽曲が中心のアルバムになっている。これでは確かに往年のプログレ・バンドとしてのイエス・ファンの方は正直肩透かしでしょう。しかしいつも書くことだけれど、僕はもともとがポップス方面から来たプログレ・ファンなので(笑)、この「ゆるさ」も決して悪くない、と感じてしまうのです。あとこれもいつも書くけれど、イエスの作品をオリジナル・アルバムだけ聴いていてメンバーのソロ作品や関連作品なんかはあまり聴かない、という人にはこういうアルバムは唐突に思えて不満が残るのかもしれない。しかしメンバーの直近のソロ作や関連作、すなわちクリス・スクワイアのスティーヴ・ハケットとのコラボ「スクワケット」や、スティーヴ・ハウの「タイム」、ジェフ・ダウンズのエイジア作品を体系的に聴いていれば、そのメンバーが集まって制作された新作がこういう作品になることはストンと腑に落ちるはずなのである。もっと言えば「ジョン・デイヴィソンなんていうどこの馬の骨だかわからないヴォーカリスト連れてくるくらいなら本家ジョン・アンダーソンで良かったんだ」と思っているオールド・ファンも、アンダーソンの「Suvival&Other Stories」や本家キーボード・プレイヤー、リック・ウェイクマンとアンダーソンのコラボ作「Living Tree」を聴いていればイエスの新作に往年のプログレ風味を期待することがいかに愚かなことであるかを理解できたはずなのである(いや、もちろんあれはあれでいい作品なんだけどさ)。

ただ自分がメンバーの関連作で唯一聴いてないのが新ヴォーカル・ジョン・デイヴィソンのグラスハマーな訳だけれど(笑)、You Tubeなんかでグラスハマーの曲を聴く限りでは、この人が現メンバーの中では一番古臭くてプログレっぽいことを演ってるんですよね。それがどうしてこんな風になっちゃうのか?という思いはあるんだけれど、まあ一番若いメンバーだし憧れのイエスで歌えるだけでもう幸せ、という気持ちはわからんではないが。自分の息子ぐらいの年齢の新ヴォーカリストがはしゃぐのを暖かく見守るオリジナル・メンバー、という図式がこの「ゆるさ」の原因なのかもしれない。

そういう意味では前作「フライ・フロム・ヒア」と今作の比較で言うと前作は、01年の「マグニフィケイション」以来10年ぶりの新作とは言え内容的には80年の「ドラマ」の続編で未完成に終わったトレヴァー・ホーンとジェフ・ダウンズの作品のリベンジだった(マテリアルの多くはバグルスとして発表済みのものだった)ことを考えると、メンバーそれぞれの「今」を記録した純然たる新作というのは今作こそが本当に久々の作品、ということになるのかもしれない。であれば前作から3年という比較的短いインターバルでリリースされた今作が、前作とはうって変わってあまりに緊張感のないアルバムになっていることも納得できるのである。まあ今作にしてもプロデューサーがロイ・トーマス・ベーカー(クイーンが有名)と聞いて「未完に終わった伝説の『パリス・セッション』のリベンジか?」と色めき立ったオールド・ファンは多いのかもしれないけれど。

ちなみに日本盤の解説を書いている雑誌「ストレンジ・デイズ」編集長の岩本晃一郎さん、我々ポップス・マニアにとってはプログレ方面の人というよりはこっち側の人、というイメージなんだけれど(笑)、解説を読む限りではそのロイ・トーマス・ベーカーとイエスの伝説の「パリス・セッション」の存在すら知らないようで、これはいただけませんなあ。

Tubular Beats/Mike Oldfield

 
昨年のロンドン五輪開会式でやはりイギリスを代表するミュージシャンなのだ、ということを再認識させられ、その後久々の新作を発表して世間を驚かせたアーティストというと、言うまでもなくデヴィッド・ボウイ、ということになるのだと思うけど、今回はマイク・オールドフィールド氏の方を。

2008年にリリースされたマイク・オールドフィールドの今のところの最新アルバム「Music Of The Spheres(天空の音楽)」を聴いたときに、比較的多作な人ではあるけれど、これからもうしばらくの間新作がリリースされることはないのかもしれないな、と何となく思った覚えがある。このアルバムがひとつの区切りになるのかもしれないな、と。マイクが長い間音楽活動を続けてきた末にその集大成(いつものように彼の代表曲である「Tubular Bells」の断片も聴かれる)として結局辿り着いたのが交響曲だった、というのがごく自然な帰結だったように思えたからである。

案の定、というべきか、その後マイクは自身の過去の作品のリミックスや未発表音源を含むアーカイヴ作品(デラックス・エディション)のリリースを、デビュー作にして代表作である「Tubular Bells」から開始して順次リリースを進めてきた。昨年は6th「Q.E.2」までのリリースが完了したところでの件のロンドン五輪開会式での演奏だった。

そして今年に入ってからリリースされたのがこの「Tubular Beats」である。マイクの熱心なファンであるというドイツのクラブDJユニット・Torsten "York" Stenzelとのコラボによるマイクの過去の楽曲のクラブ・リミックス集ということで、いわゆる企画盤になる。リミックス曲の方は正直特にどうということもない出来栄えなのだけれど、重要なのは1曲だけ完全な新曲が収録されていることである。11曲目の「Never Too Far」。これがあまりにも素晴らしい。オールドフィールド・マニアの方は既にタイトルを聞いてピンと来るかもしれないが、マイクが87年に発表したアルバム「Islands」のタイトル曲のフレーズが再び繰り返されている。

「We Are Islands/But Never Too Far(私たちは孤島/でも決して遠く離れてはいない)」

ライナーノーツの文章が実に上手くこの曲のことを表現している。

「この美しいアンセムはあなたを遠いどこかへ連れて行くことだろう。どうか目を閉じて聴いてほしい」

この曲で歌われているのは、そう、「祈り」である。

2012年は新譜をたくさん聴きました。〜(2)〜

 

「ライフ・ウィズイン・ア・デイ」:スクワケット
僕はイエスというバンドには好きとか思い入れがあるとかいうのを通り越してもはや感謝さえしています(笑)。イエス自体のオリジナル・アルバムの素晴らしさは言うに及ばず(おととしリリースされた最新作「フライ・フロム・ヒア」もちょっと意表を突かれるくらい良かった)、メンバーのソロ作・関連作がどれも素晴らしくて次から次へと自分の趣味の世界が広がっていくのが楽しかった。ビル・ブラッフォードにはジャズ・ロックの凄さを教えてもらったし、リック・ウェイクマンやパトリック・モラーツからはシンフォニック・ロックの良さを教えてもらった。あまり世評の高くないスティーヴ・ハウの歌も個人的には大好きです(笑)。そんなメンバーそれぞれのソロ作の中で一番好きなアルバムはどれか?と訊かれたら、僕は迷わずクリス・スクワイアが'75年にリリースした1stソロ作「フィッシュ・アウト・オブ・ウォーター(未知への飛翔)」を挙げる。クリスはバンドの結成時から今日に至るまで幾度ものまさに『パーペチュアル・チェンジ』を繰り返してきたメンバーの中で、唯一不動のオリジナル・メンバーである。まさに彼こそがイエスなのである。そのクリスとこれまでもお互いのアルバムで何度か共演経験のあった元ジェネシスのスティーヴ・ハケットによる新ユニットがその名もスクワケット。「一緒に曲を書くようになって、スティーヴが実際かなり上手いシンガーだって気づいたのさ。僕たちの声はすごくうまくブレンドしてアルバムにはちょっとCSN&Yっぽいハーモニーも入ってるんだよ」というクリスのコメントを読んで、何となくイエスの最新作に収録されていた曲の中で最もポップな曲「The Man You Always Wanted Me To Be」のような感じを予想していたのだけれど、だいたい予想どおりの音でした。クリスがやっていた元イエスのビリー・シャーウッドとのユニット、コンスピラシーは正直いまいちピンと来なかったのだがこれはいいです。ハケットも近作のようなダークで重厚な感じと言うよりは「スペクトラル・モーニングス」〜「キュアード」の頃に戻ったようなポップで弾けた曲と演奏を聴かせてくれる。あとクリスの1stソロの名曲「Silently Falling」の続編というかアンサー・ソングっぽい曲もあったりしてニヤリ。確かに元イエスとジェネシスという2大プログレ・バンドのメンバーによるコラボ、と聞いてスリリングなテクニックの応酬のようなものを期待すると肩透かしを喰らうでしょうが、シンガーソングライターとしてのハケット=スクワイアの魅力を堪能できるアルバムです。


「ザ・リヴィング・トゥリー+イン・コンサート」アンダーソン/ウェイクマン
僕がプログレを聴くようになって、イエスにハマってリック・ウェイクマンというキーボード・プレイヤーについ親近感を抱いてしまったのは、彼が僕の長年聴き親しんできた数多くのミュージシャン(非プログレ系)のアルバムにスタジオ・セッション・プレイヤーとして参加していた、と知ったからだった。エルトン・ジョン、アル・スチュアート、T.レックスなど、ああ、あのアルバムで弾いていたのもウェイクマンだったのか、と驚かされたものだが、とりわけデヴィッド・ボウイのアルバムの中で個人的に最も好きな「ハンキー・ドリー」での印象的な演奏はウェイクマンのキャリアの中でも最高のものの一つ、と言っていいだろう。しかし何より僕にとって衝撃だったのは、あのキャット・スティーヴンスの名曲「Morning Has Broken」でピアノを弾いているのがウェイクマンだった、という事実である。確かに一度聴いたら決して忘れられない印象的なピアノのイントロダクションは、今改めて聴いてみると紛れもなくウェイクマンのものと思える。そのウェイクマンが久しぶりにジョン・アンダーソンとコラボレートしたアルバム「ザ・リヴィング・トゥリー」は実はおととし2011年のリリースだが、国内盤はその後にリリースされたライヴ盤との2枚組として去年リリースされたということでちょっと反則ですが(笑)。国内盤のライナーノーツでしか読めない2人へのインタビューが興味深い。


「フォーカス X」フォーカス
イエスにハマってからというもの、僕は勢い余ってロジャー・ディーンの画集を2冊購入してしまったくらいなのだが(笑)、オランダのプログレ・バンド、フォーカスの新作のジャケはそのロジャー・ディーンが手掛けている。以前書いたけど同郷のバンドとしてはアース&ファイアーが既にロジャー・ディーンにジャケをやってもらっているけど、フォーカスはこれが初めて、というのが意外なくらい。やはりヤン・アッカーマンはいないので、お、ロジャー・ディーンか、フォーカスか、というくらいの軽い気持ちでこのアルバムを聴いたプログレ・ファンはがっかりするかもしれないが、ヤン・アッカーマン不在のフォーカスの近作を「フォーカス 8」、「フォーカス 9」(今作タイトルの「フォーカス X」は「エックス」ではなくて「10」の意味)とちゃんと聴き続けてきた人にとっては、ただただタイス・ヴァン・レアの現役ぶりが嬉しい良作となっています。


「ジェラルドの汚れなき世界2」イアン・アンダーソン(ジェスロ・タル)
'72年に発表され爆発的ベストセラーを記録したジェスロ・タルのアルバム「ジェラルドの汚れなき世界」から40周年を迎えてリリースされた続編。40年前の前作では新聞の体裁を取っていたジャケが、続編となる今作では現代版ということでウェブのニュース・コンテンツ形式になっているのが面白い。続編とは言え、一応「(Jethro Tull's) Ian Anderson」とソロ名義でのリリースになっているのもミソで、内容的には近年のソロ作の延長線上にある。したがってこのアルバムも、おお、あの「ジェラルド〜」の続編か、という軽い気持ちで手を出して(笑)しまった人には地味に聴こえるかもしれないが、その後のジェスロ・タル〜イアン・アンダーソンをちゃんと聴き続けてきた人にとっては、いつもと変わらぬイアン・アンダーソン節に安心できる1枚。ジェスロ・タルというバンドがプログレ・バンドである以前にブリティッシュ・ロックの良心である、ということを教えてくれる。


「ブループリント」セバスチャン・ハーディー
フォーカスにハマってから僕は「シンフォニック・ロック」「泣きのギター」「メロトロン」というキーワード(というか「タグ」ですね)を頼りにして色々なミュージシャンを聴いたのだけれど、中でも良かったのがオーストラリアのセバスチャン・ハーディー。中心人物でありギタリストのマリオ・ミーロが奏でるカルロス・サンタナやアンディ・ラティマーばりの泣きのギターと、終始後ろで鳴っている穏やかなメロトロン、そして非常に親しみやすくて分かりやすいメロディ(プログレやシンフォニックというよりはもはやまっとうなハード・ロックかパワー・ポップと言ってもいい)。僕はすぐにハマってしまって'70年代にこのバンドがリリースしたたった2枚のアルバムと、その後に発表されたマリオ・ミーロのソロとその関連作(ウインドチェイス)を一通り聴いたのだが、どれも素晴らしい内容で、こんなにいいバンドが'70年代に欧米ではなくて「down under」に(笑)存在していた、というのが面白い発見でした。セバスチャン・ハーディー名義としては'76年の2nd「ウィンドチェイス」以来何と36年ぶり(!)のリリースとなるのが本作「ブループリント」。このアルバムも一聴しただけでは地味に聴こえるのだけれど、随所に過去の作品で聴き馴染んだフレーズが織り込まれていて、けれど決して単なる懐古趣味に陥っている訳ではなく彼らの今の音が鳴っている。過去に素晴らしい作品を残してきた偉大なミュージシャンが、今のこの時代に古くからのリスナーを納得させることのできる作品というのはこういうものなのだ、ということを思い知らせてくれる。このセバスチャン・ハーディーに限らず去年新作をリリースしてくれたミュージシャンたちの作品はみな例外なくこれに当てはまっているのだけれど、それがとにかく嬉しくて、ありがたい。

「Atlantis」アース&ファイアー

 

オランダのミュージシャンのヒット・ソングというと僕なんかはもう反射的に、と言うか、何とかの一つ覚えみたいに(笑)ショッキング・ブルーの「ヴィーナス」を思い浮かべるのだけれど、このアース&ファイアーもショッキング・ブルーと同じ女性がリード・ヴォーカルのオランダのバンドである。このバンドのCDも集めるのに大変手こずりました。どの通販サイトで検索してもよく似た名前のアース、ウインド&ファイアーが沢山引っ掛かってきちゃうし(笑)。

前回紹介したカヤック同様、その音楽性はプログレ、シンフォニック・ロックということになるのだろうけど、実際1stのジャケなんかはかのロジャー・ディーンだったりもする(こちら↓)

ただこの1stの段階ではまだごくありふれたサイケ・ポップという趣でプログレ色は希薄。バンドが本格的にプログレ方面へと舵を切るきっかけとなったのは、たまたまスタジオにあったメロトロンを演奏に取り入れてレコーディングされたという'71年リリースの2nd「アムステルダムの少年兵」である。カヤックのような憂いを帯びた美しいメロディとフォーカスのような泣きのギター、アルバムB面全体を使ったかなりしっかりとした構成の組曲形式の楽曲などは同時代のイギリスのプログレ・バンドたちにも決して引けを取らない。なぜプログレを演るようになったのか?という問いに対する答えが「そこにメロトロンがあったから」という哲学的ともいえる(笑)エピソードは面白いですね。

その充実した内容の2ndを踏襲するかたちで制作された続く3rdアルバム「アトランティス」こそ、このバンドの最高傑作と言っていいだろう。アルバム全体を貫くコンセプトがアトランティス大陸の伝説をテーマにした組曲構成というのも実にプログレ的である(そう言えばカヤックはアーサー王の伝説をテーマにしたコンセプト・アルバム「マーリン」をリリースしていたりもするが、プログレ・ファンなら誰しもが思い浮かべるのはリック・ウェイクマンの「アーサー王と円卓の騎士たち」ですね)。

しかしこのバンドも60年代後半から70年代前半にデビューした多くのプログレ・バンドの宿命として、とでも言うべきか(笑)時代の流れに翻弄され、続く'75年リリースの4thアルバム「To The World Of The Future」からはディスコやソウル、ファンク、R&Bのテイストを取り入れた(まさによく似た名前の別バンド、アース、ウインド&ファイアーのような)音楽性へと変貌していく。特にアルバム・タイトル曲なんかはシックの「おしゃれフリーク」か、と聴き紛うような曲である。しかし基本は歌メロがポップでしっかりしているバンドなのでディスコ・サウンドとも馴染みやすい。ただそれでもプログレ期の名残なのかメロトロンだけは終始後ろで鳴り響いていて、「ディスコ・サウンドとプログレの融合」という一種独特のキッチュでモンドな音世界は、これはこれで悪くない(笑)。

リード・ヴォーカルのジャーネイ・カーグマン嬢の歌唱スタイルを聴いていると、先述したショッキング・ブルー同様にジェファーソン・エアプレインのグレイス・スリックからの影響は明らかなのだけれど、僕はむしろ「アトランティス」に収録の名曲「Maybe Tomorrow,Maybe Tonight」を聴いて、アメリカのソフト・ロック・グループ、スパンキー&アワ・ギャングの「Sunday Will Never Be The Same」を思い出してしまった。あとママス&パパスとか。このバンドも一般的な認識としては「オランダのプログレ・バンド」ということになるのかもしれないけれど、とにかく歌メロが親しみやすく美しいので、ポップス好きの人にこそ聴いてもらいたいバンドである。

それにしてもこのアース&ファイアーにしても以前書いたカヤックやソリューションにしてもそうなのだけど、オランダのミュージシャンの書くメロディというのはもう「親しみやすい」のを通り越して「人なつっこい」くらいで、今ではプログレも聴いているけど根がポップス好きの僕には何ともたまらない。

「See See The Sun」「Kayak」カヤック

 

前々回の記事に書いたオランダのカヤックの’73年の1stアルバム「See See The Sun」。日本で発売された当時の邦題はその名も「金環食」。裏ジャケは↓


日食グラスで見てます、太陽(笑)。つい先日巷でよく見られた光景ですね。フォーカスやソリューションを聴いてオランダの音楽シーンに興味を抱いたので、いろいろ調べてカヤックというバンドの存在を知って聴いてみた。で、ハマった(笑)。リリースされたほぼ全てのアルバムを揃えました。こちらもCDすらほとんどが廃盤で大変な思いをしたけど(笑)。でも楽しかった。

いちおうプログレ・バンドということになっていて、僕もそのつもりで聴いたのだけれど、この1stで聴かれるクラシカル(というかシンフォニック、でしたね。覚えました(笑))で美しいメロディとイエスを思わせるコーラス、メロトロンも聴こえる長尺のインストなんか聴くと確かにプログレ的ではある。しかし基本はキャッチーで親しみやすいポップな楽曲が中心で、例えば1曲目の「Reason For It All」のドラマティックなイントロを聴くと後に「3分間プログレ」と言われたエイジアあたりを想起せずにはいられない。


この2ndアルバム「Kayak」もジャケからしてヒプノシスか?と思わせるプログレ感バリバリなのだが、楽曲の方は一貫してコンパクトでポップでキャッチー。以前紹介したケストレル同様、プログレ・ファンより10ccやELOといったビートルズ直系のブリティッシュ・ポップ好きの人にこそ聴かせたい。特に2曲目「Wintertime」はママス&パパスの「カリフォルニア・ドリーミン」、サイモン&ガーファンクルの「冬の散歩道」、トレイドウインズの「ニューヨークス・ア・ロンリー・タウン」と並ぶポップ史に残る冬の名曲である。

バンドのメイン・コンポーザーはクラシカルでシンプルで美しいメロディを書くTon Scherpenzeelとややヒネりの利いた陰のある楽曲を得意とするPim Koopmanの2人。ビートルズで言えばポール・マッカートニーとジョン・レノン、10ccで言えばスチュアート&グールドマンとゴドレイ&クレーム、スーパートランプで言えばロジャー・ホジソンとリック・デイヴィス。ポップ・ロック・バンドにおける絶妙のバランスですね。70年代後半にはPimがバンドを脱退し、Tonによるさらにドラマティックな歌モノ中心(まさに先述したエイジアのような売れ線プログレ・ポップ)へと音楽性がシフトしていく訳だけれど、この頃にはイギリスのジャズ・ロック系重要人物ジャック・ランカスター(ブランドX関連。彼のソロ作Skinningrove Bayは愛聴盤です)なんかがアルバムをプロデュースしていたりして面白い。Tonは80年代にはイギリスのプログレ・バンド、キャメルのアンディ・ラティマーに請われてメンバーに加入しキーボード・プレイヤーとして重要な役割を果たすことになる。もう一人のPimの方は母国オランダ出身の男性シンガーで90年代初めに日本でもヒットしたヴァレンシア(懐かしいですね)のプロデュースを務めたりしているのだが、Pimがカヤック脱退後に結成したバンド、ディーゼルのヒット曲を聴いて驚いてしまった。それがこれ↓


これまた懐かしいですね。鹿取洋子の「ゴーイング・バック・トゥ・チャイナ」の原曲はこの人の書いた曲だったんですねえ。しかし楽しいなあ。元をたどればプログレつながりからケストレルのポップの名盤に巡り会って、そこからフォーカスを知ってオランダのミュージック・シーンに関心を持ち、ついには時空をも超えて(笑)日本の歌謡曲にまでたどり着いちゃった訳だから。これだから音楽を巡る旅はやめられない。

「The Ultimate Collection」Solution

 
オランダのプログレ・シンフォニック・ロック・バンド、フォーカスがカヴァーしていた曲のオリジネイターである同郷オランダのプログレ・ジャズ・ロック・バンド、ソリューション。フォーカスと比べると圧倒的に知名度が低いですよねえ。僕も全然知らなかった(汗)。ほとんどのオリジナル・アルバムのCDが廃盤で入手困難か、そもそもCD化すらされていないので音源を揃えるのに大変苦労しました。

そのソリューションの足跡をほぼコンプリートできる文字通り「Ultimate(究極)」なコンピレーションがこの3枚組。過去にリリースされた1stと2ndの2in1では収録時間の都合上漏れていた曲がボーナス・トラックとして収録されていたり、スタジオ音源とライヴ音源の楽曲が重複しないように選曲されていたりするマニアックかつ親切設計なコンピレーションなんだが、できれば全部スタジオ音源にしてもらってライヴ音源はボーナス・ディスクという形にしてもらえたらなあ、というのが正直なところ。でももともとがジャズ・ロック寄りのテクニカルなバンドなので、ライヴ音源でもその魅力を安心して楽しめる内容になっている。

他の多くのプログレ・バンド同様に時系列で聴いていくと時代ごとにその音楽性が大きく異なる。70年代初期のジャズ・ロック期(少しカンタベリー風味。でもヒネくれたユーモアというものはあまり感じられなくて比較的親しみやすいプログレ)、70年代中〜後期のフュージョン期(90年代以降のヒップホップ系ミュージシャンがサンプリングの元ネタに使ってもおかしくはないレア・グルーヴ感)、80年代のアメリカ寄りの明るく爽やかなAORポップ期(ほとんどジョン・クーガーかと聴き紛うような曲もある)と、しかしそのすべての活動期間で根底に通じているのは妙に親しみやすく叙情的なメロウネスである。特にベース兼リード・ヴォーカルのGuus Willemseの拙いけれども味のある歌メロは、山下達郎が好きな日本の洋楽ファンにも十分に受け入れられるものだろう。歌謡曲的、であると言ってもいい。何とも歌心のあるバンドなのである。3rd、4thアルバムはエルトン・ジョンのレーベル、ロケット・レコードからリリースされていてプロデュースはガス・ダッジョン、というあたりにもこのバンドの特徴がよく表れているかもしれない。

その歌モノの中でも特に素晴らしいのが5thアルバム収録の「On My Own」。フォーカスのヤン・アッカーマンも作曲のクレジットに名を連ねるこの曲は、確かに同時期にアッカーマンがリリースしていたソロ作品「3」あたりにも通じるものがあるスムース・ジャズ、フュージョン・ポップの名曲。そして4thアルバム収録の「French Melodie」。こちらはインスト曲だがソリューションお得意の必殺の泣きメロが炸裂する超名曲。その曲のタイトルどおりミシェル・ルグランやフランシス・レイ、ミシェル・コロンビエと言ったフランスの映画音楽作曲家のスコアを思い起こさせるようなところもある。曲の終盤でハープシコードが奏でるあまりに美しすぎるリフレインを聴くたびに、この刹那の恍惚が永遠に続いてくれたらいいのに、とさえ思う。

前回の記事に書いたフォーカスがカヴァーした「トミー」ではヤン・アッカーマンの泣きのギター・ソロが印象的なのだが、ソリューションの原曲「Divergence」の方ではギターではなくサックスのソロになっている。実はソリューションはギタリストのいないギターレス・バンドなのである。しかしギタリストの不在はソリューションというバンドの個性であるソフトでメロウな音楽性をいささかも毀損するものではない。

しかしこんなにも素晴らしいバンドの存在すら知らなかったとは、ただただ己の不明を恥じ入るばかりではあるが、日本盤はおろかほとんどの輸入盤CDですら入手困難という状況は残念というより他ない。この手のプログレ発掘音源ではいつもお世話になっているイギリスのEsoteric Recordingsあたりにオリジナル・アルバムのリイシューを期待したい。

フォーカス、ソリューションにハマっていやはや侮れないなあオランダ、と彼の国のミュージック・シーンに興味が湧いてきたのでいろいろ調べてみたところ、今度はカヤックという愛すべきバンドとめぐり合うことができたのだが、これについてはまた次回。

「ムーヴィング・ウェイヴズ」「フォーカス掘廛侫ーカス

2nd「ムーヴィング・ウェイヴズ」フォーカス

3rd「フォーカス掘廛侫ーカス

2つ前の記事に書いたけど、ケストレルのデイヴ・ブラックが影響を受けたアーティストのひとつにオランダのフォーカスを挙げていたので興味を持って調べてみたところ、そのアルバムのジャケには見覚えがあった。ちょうどジェスロ・タルに熱を上げていたときにwebのオンラインショップ・サイトで同じ傾向のアーティストとしてレコメンドされていたのだと思う。確かにフロントマンがフルート奏者であるプログレ・バンド、という意味では共通点はあるのだが。アルバムについてのカスタマー・レヴューを読んでみると「ヤン・アッカーマン(おお、聞いたことある名前だぞ)の泣きのギター(好物です)をフィーチュアしたシンフォニック・ロック(という言葉があるんですね。プログレを聴くようになって知りました。ルネッサンス、プロコル・ハルム好きの僕には見過ごせないワード)」とあるのでさっそく一通り聴いてみた。

2nd「ムーヴィング・ウェイヴズ」の「ホーカス・ポーカス」はレッド・ツェッペリンかディープ・パープルかと思わせる激しいギター・リフのハード・ロックかと思いきや突如風変わりなヨーデルが飛び出すノヴェルティ・ソング風。組曲「エラプション」の「トミー」で聴かれるヤン・アッカーマンの泣きのギターはもはやサンタナの「哀愁のヨーロッパ」ではないか。3rd「フォーカス掘廚痢屮轡襯凜ア」はクラシック音楽に暗い僕でも一聴してそれと分かる「パッヘルベルのカノン」の翻案となる愛らしいギター・インスト・ポップ。この曲を聴いて笑顔のこぼれない人はいないだろう。

確かに大きな括りで言うなら「クラシックをバックボーンとするプログレッシヴ・ロック」ということになるのだろうけど、ハードロック、ジャズ、フュージョン、クラシック、イージー・リスニングからノヴェルティ・ソングまであらゆるジャンルの音楽をごった煮にしたまさしく「ミクスチュア・ロック」とでも言うべきか。こんなに面白いバンドがアメリカやイギリスではなくオランダにいたのだから世界は広い(笑)。

で、先述した組曲「エラプション」の「トミー」があまりに名曲だったので、クレジットを確認したらこれがフォーカスのオリジナル曲ではなくてカヴァー曲だった。いろいろ調べてみたところ、オリジナルはどうやら同じオランダのソリューションというバンドの曲らしい。そこで聴いてみることにしたソリューションがこれまた・・・、という訳で次回はソリューションについて。

「ケストレル」ケストレル


JUGEMテーマ:音楽

前回書いたルネッサンスを集めるに際して参考にさせてもらったガイド本が、プログレ・ファンの間では通称「赤本」「青本」の名で知られる(ウソ(笑)。よく知らない )「UKプログレッシヴ・ロック(シンコー・ミュージック刊)」である。


4年くらい前、僕にプログレという未履修科目(もはやこのワード自体が懐かしいですね。当時は連日のようにニュースで報道されていた言葉だけど)が発覚した際にプログレ補講を受講するための教材として購入していたもので(笑)、ここ最近は目を通していなかったのだけれど入院した際に暇つぶしにでも、と引っ張り出して病室に持ち込んで読んでいた。ページをめくっていてケストレルがリリースした唯一のアルバムの、その印象的なジャケットが目にとまったとき、20年前の記憶がよみがえってきた。

学生だった当時、所属していた音楽サークルのプログレ好きの先輩が10ccやバッドフィンガー、パイロット、E.L.Oといったポップ・バンドが大好きだった僕を見て「君はケストレルを聴きなさい。きっと気に入るから」と勧めてくれたのである。しかし当時の僕は「いくらポップでもプログレはちょっとなあ」と先輩のせっかくのレコメンドを無視して結局聴かずじまいのまま今に至っていたのである。あれから20年以上も経って、ようやく聴いてみたそのアルバムの内容は、このいつもの展開はもうこれ以上書く必要もないと思いますが(笑)。

アルバム冒頭の「アクロバット」の歌い出しの泣きメロでもう心を鷲掴みにされる。確かにバッドフィンガーである。しかしただ親しみやすいパワーポップという訳でもなくそのメロディは一筋縄ではいかなくて、まさにプログレッシヴな展開を見せる。曲のタイトルどおりヒネりの利いたアクロバティックな着地を披露する。この辺りのポップセンスは10ccのゴドレイ&クレームに近いかもしれない。2曲目の「ウィンド・クラウド」なんかオサレなソフト・ロックのコンピレーションに入ってても違和感ないような曲である。「テイク・イット・アウェイ」はザ・サークルの「レッド・ラバー・ボール」をちょっと思い出させる。ただ歌メロ自体はポップでも後ろでベースはブリブリ言ってるし、ドラムスはジャジーに粘っこいし、エレピは軽やかに弾むし、いくつかの曲で聴かれるメロトロンの洪水はしっかりプログレでもある。

とにかく久しぶりにただグッド・メロディに身を委ねる快感を味わったような気がする。こんなに素晴らしいパワーポップの名盤をプログレ・ファンだけのものにしておくのはもったいない(笑)。ただひとつだけ惜しいのはケストレルがこれ1枚だけしかアルバムを残していないという点。メイン・コンポーザーであるデイヴ・ブラックが後に参加したスパイダーズ・フロム・マーズ(かのジギー・スターダスト=デヴィッド・ボウイのバックバンド)のアルバムなんかももちろん聴いたのだけれどそれでも全然食い足りない(笑)。そこで僕は日本盤紙ジャケのライナー・ノーツに書いてあるデイヴ・ブラックが影響を受けたアーティストにわずかな手掛かりを求めた。そこには「フォーカス」というバンドの名前があった。何かが僕の記憶の扉を叩く。そしてまた僕は新たなるセレンディピティを体験することになるのである。それについてはまた次回。

しかし不思議なものですねえ。病気をして入院して久しぶりにプログレ本を開くことがなければ、僕はこのケストレルの名盤にめぐり会うことがなかったのかもしれないのだから。

「シェエラザード夜話」ルネッサンス

JUGEMテーマ:音楽
前回書いたティナ・ターナー「プライヴェート・ダンサー」の歌詞。

「男たちはここにやって来る/彼らはみんな同じようなもの/君は彼らの顔さえ見ない/名前を尋ねることもない/君は彼らを人間と思っていない/彼らのことなど考えたことすらない/君はお金のことに考えを集中する/壁だけをじっと見つめながら/

私はあなたのプライヴェート・ダンサー/お金で雇われたダンサー/してほしいことは何でもしてあげる/私はあなただけのダンサー/踊るのは生活のため/どんな音楽でも踊ってあげる/

私は大金持ちになりたいの/いつか海のそばで優雅に暮らしたい/結婚して何人か子供も産んで/そう、家庭を持つのが夢/

男たちはみなここにやって来る/誰もが同じ顔/君は彼らの顔さえ見ない/名前を尋ねることもない/

お支払いはドイツマルクでもドルでもOK/アメリカン・エキスプレスだと助かります、ありがとう/あなたのネクタイをゆるめてもいいかしら/私があんな風に踊るのをまた見たい、って言ってよ」
(拙訳:by豊満ランドオー)

マーク・ノップラーというアーティストの魅力はもちろん彼が爪弾く(フィンガー・ピッキングだから文字通り)ギターや、ジミー・ウェッブが賞賛するヴォーカルなのだけれど、それだけではなくて歌詞がまたいいんですよねえ。歌詞を聴いているだけで目の前にパッと情景が浮かんでくる。ストーリー性があって情景的、という点においてノップラーとウェッブの書く詞は着眼点が似ているかもしれない。その傾向は1stシングルの「悲しきサルタン」(場末のクラブで演奏するジャズ・バンドのことを歌ったもの)や「ラヴ・オーヴァー・ゴールド」に収録の14分に及ぶ大作「テレグラフ・ロード」(かつては栄えた過疎の街がテーマ)において顕著である。ノップラーの書く詞はただ情緒に流れるのではなくてピリッとアイロニーが利いているのがいかにもイギリス人らしい。


さて、前回記事で書いたけど先般の入院中にはダイアー・ストレイツとともにルネッサンスもよく聴いていた。ルネッサンスについてはアニー・ハズラムのソロ「不思議の国のアニー」だけ学生時代に買って持っていたのだけれど、理由は僕の大好きなロイ・ウッド(元ムーヴ、E.L.O.)がプロデュースしている(当時アニーと恋仲だった)から、という一点のみにおいてであって、正直聴くにあたっては「ルネッサンスってプログレの人たちなんだよな」と抵抗感があった(笑)。しかし果たして聴いてみたそのアルバムで僕が一番気に入ってしまった曲はロイ・ウッドの書いた曲ではなくて、ルネッサンスのジョン・キャンプが書いた「私が音楽でできてたら」だった。久しぶりにこのアルバムを聴いていて「やっぱりいい曲だな。キャンプってこの曲でクリス・スクワイアばりにベースをブリブリ言わせてる人か」と妙に心に引っ掛かって、遅ればせながら本家ルネッサンスの名盤とされる「シェエラザード夜話」を聴いてみた訳である。で、いつものように引っくり返った訳である(笑)。ここまで辿り着くのに随分遠回りしたなあ、と。何でもっと早くに聴いておかなかったんだろう?と。

「プログレ」と言うから話がややこしくなる(笑)のであって「クラシック・テイストを持ったブリティッシュ・ロック・グループ」という意味では僕の大好きなプロコル・ハルムあたりから辿り着いてもおかしくはなかったはずだけど不思議と今まで聴く機会を逃してしまっていた。組曲「シェエラザード夜話」のピンク・フロイドの「原子心母」さえ思い起こさせるような荘厳さ(というか「大仰さ」とさえ言ってしまっていいかもしれない。僕はこういの嫌いじゃないです(笑))にはいつ聴いても圧倒されるが、やはりこのアルバムと言ったら「オーシャン・ジプシー」にとどめを差すだろう。プログレ史に、というよりブリティッシュ・ロック史に残る名曲である。

この「シェエラザード夜話」があまりにも良かったので、慌ててルネッサンスの他のアルバムも大人買いして(笑)コンプリートしたのだけれど、ちょうどフェスに来日するとのことで過去の作品群が国内盤紙ジャケでまとめてリリースされていたところでタイミングが良かった。キング・クリムゾンやマイク・オールドフィールドのときはかなり苦労して輸入盤のプラケースを集めた直後に国内盤紙ジャケが一挙にリリースされた苦い思い出があったからなあ(笑)。

ルネッサンスの特長はプログレなんだけど冗長なインストに終始するのではなくてアニーの歌がちゃんと引っ張っていってくれるところと、先述した明らかにイエスのクリス・スクワイヤの影響下にあるジョン・キャンプのベース・プレイなんだけど、どうしてこんなにベーシストが目立っちゃうのか(笑)と言うとロック・バンドには珍しくソロを弾くリード・ギタリストのいないギターレスのバンドなのである。入院中にルネッサンスとダイアー・ストレイツをよく聴いていた、と書いたけど、一見あまり関連性のないように見えるこの2つのアーティストを聴いていたのは、ルネッサンスを聴いていたら身体が自然にギターの音を欲していた(笑)からダイアー・ストレイツだったのかもしれないな、と思った。

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