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  • 2016.04.03 Sunday
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Roy Wood:The Bagpiper at the Gates of Dawn (ロイ・ウッド:夜明けのバグパイプ吹き)

JUGEMテーマ:音楽

僕にとってのロイ・ウッドというミュージシャンは10代の頃から好きでずっと聴き続けている、まさに自分の音楽趣味の根幹を成すミュージシャンの一人で、あまりに距離が近すぎるものだからちょっと引いて、この人の世間一般での認識・評価みたいなものを客観的に見てみよう、といろいろググってみた。

1.「ポップの魔術師」=彼が自ら率いていたバンドの名前がWizzard(zは2つ重ねる)だったからでしょうか?トッド・ラングレンの音楽性との共通点に言及している人も多いけど、これもトッドが「魔法使いは真実のスター(A Wizard, A True Star)」というアルバムをリリースしていることからの連想でしょう。ビートルズ、ビーチボーイズの影響を受けた1人多重録音のマルチ・プレイヤー、という意味では確かに似ているけど、ロイが演っているようなクラシックからの影響が色濃いシンフォニックな要素や、ジャズやビッグ・バンド的な要素というのはトッドには希薄だし、逆にトッドのソウル・ミュージック志向みたいなものはロイにはほとんどない。トッドはユートピアでThe Moveの「Do Ya」をカヴァーしているけどあれもジェフ・リンの曲だしねぇ。僕はロイもトッドも両方大好きだけどこの2人を似た者同士と思ったことはあまりない。

2.「イギリスの大滝詠一」=これは確かに納得です。アメリカのオールディーズ・ポップスやロカビリーに対する憧憬やフィル・スペクターのウォール・オブ・サウンド風の音作り、言うまでもなくビーチ・ボーイズへの愛情とかね。こちらもロイの方には色濃いビートルズからの影響というのは大滝さんには希薄なんだけれど。

3.「奇才」=これですねえ、今回僕がこの記事を書こうという思いに駆り立てたものは(笑)。あと「ひねくれポップ」とか「過小評価されているミュージシャンズ・ミュージシャン」なんて評価もあるようですが、これでは聴かず嫌いの誤解を生みそうでマズいなあ、と(笑)。ロイ・ウッドというミュージシャンの本質はとっつきにくくて分かりにくい音楽なんてイメージとは程遠い、とてもポップで親しみやすくてメロディアスな歌なんですよ。切なくて胸締めつけられる泣きのメロディは日本人の琴線に触れる音楽と言ってもいい。ロイ・ウッドはE.L.O.というバンドをジェフ・リンと共に立ち上げた人、という認識も多勢を占めると思うけど、実際には1stアルバムのみでE.L.O.は脱退してしまったわけで、その後ワールドワイドな成功を収めるE.L.O.との比較で言うと、ピンク・フロイドにおけるシド・バレットのような伝説のミュージシャン的扱いを受けるのも分からんではないが、何ならジェフ・リンよりももっと万人受けするような曲を書くメロディ・メイカーだった、と僕なんかは思う訳です。

で、とりあえずそのロイ・ウッド関連で最も有名な曲と言えばこれなんでしょうね。まさにロイ・ウッド節全開。ロイ・ウッドの名前は知らなくてもこの曲は聴いたことある、という人は多いでしょう。クリスマス・ソングの定番曲。
Wizzard 「I Wish It Could Be Christmas Everyday」


でもって、奇才だのひねくれ者だの言われる所以がこの動画でも印象的なメイクだったりするんですが、これはこの時代のこういうグラム・ロックをやっていたミュージシャンの多くがやっていたことで特に奇抜なことでもない。

ロイが60年代に率いていたバンドThe Moveのこの曲なんかも切ない泣きの歌メロが彼らしい代表曲。
The Move 「Fire Brigade」

この曲で聴けるメロディ・センスなんかは同じイギリスを代表するバブルガム・ポップス系の作曲家でその筋では有名なTony Macauleyあたりに通じるものがあるかもしれない。

あとビートルズからの影響色濃いシンフォニック・バラードのこの曲なんかは「裏ペニー・レイン」とでも言いましょうか。
The Move 「Blackberry Way」


シンプルで親しみやすくてキャッチーな曲をもう1曲。
The Move 「Curly」

ロイ・ウッド師匠のリコーダー2本吹きがお茶目です(笑)。この曲を聴くたびについ「♪風まじりの雪まじりの厚いコートには」とカジヒデキ君の「たまごの中の欲望」を口ずさんでしまう訳ですが、あの曲を初めて聴いた時も「オレの大好きなロイ・ウッドをパクりやがって」なんて腹を立てることなんて全くなくて(笑)、それどころかむしろ「よくもまあこんなマニアックな曲を知ってるなあ、偉いなあ」と感心したものです。

ソロ曲では一人ビーチ・ボーイズとでも言うべきこの曲。
Roy Wood 「Forever」


Wizzardなら大滝詠一さんとの類似性を感じずにはいられないウォール・オブ・サウンド風のこの曲。
Wizzard「See My Baby Jive」


有名曲ばかりでもあれですので、ここからは個人的に好きな隠れた名曲を。まずはソロから。
Roy Wood「Wake Up」

牧歌的なんだけど泣けるメロディ、というのはポール・マッカートニー・イズムの正しき継承者、とでも言うべきでしょうか。

次はWizzardから荘厳でシンフォニックなこの曲を。
Wizzard「Wear A Fast Gun」

クラシック音楽からの影響色濃いこういう曲を聴くたびに僕の大好きなミュージシャンではリック・ウェイクマンあたりとの共通性を感じずにはいられないのだけれど、実はリックのソロ作にもロイはゲスト・ヴォーカリストとして招かれたりもしてるんですよね。

ロイ・ウッドのソロ・アルバムとしては1st「Boulders」、2nd「Mustard」、3rd「On The Road Again」までが世評が高いようですが、4th「Starting Up」も決して悪くないです。87年といういかにも時代を感じさせる音作りが絶妙に古臭いのは確かですが、ロイ・ウッド節のメロディ・センスはまるで衰えることなく健在です。
Roy Wood「Raining In The City」


あとはロイ・ウッド作品ではないですが関連曲で名曲を。
Annie Haslam「If I Were Made Of Music」

以前にもルネッサンスのアルバム・レビューで書いたけど、ロイとアニー・ハズラムは一時恋仲にあったんですよね。で、そのアニーのソロ作を全面プロデュースしたのが「不思議の国のアニー」。ちなみにロイ自身のソロ・アルバム同様アルバムのジャケのイラストまでロイ自身によるものです。で、この「私が音楽でできてたら」は個人的にはルネッサンス時代を通しても五指に入る名曲だと思う訳です。「もしも私が音楽でできていたら/それが私の思い/私はあなたが生涯をかけて作る未完の交響曲」なんて歌詞もいい。曲を書いているのはルネッサンスのリード・ベーシスト(笑)であるジョン・キャンプ。ジョンとロイは後にRoy Wood 's  Helicoptersなるバンドを結成することになるのですが、そこからいかにもロイらしい泣きのメロディ炸裂のこの曲を。
Roy Wood's Helicopters「Givin' Your Heart Away」


同じくアニー・ハズラムのソロ作をプロデュースしたり、ジェフ・リンのE.L.O.作品の多くでストリングス・アレンジを手掛けているルイス・クラークのソロ・アルバム「Per-spek-tiv」は、E.L.O.好きならずとも必ず押さえておくべき名盤です。E.L.O.のストリングスの人なんだからそれらしい部分が随所に聴かれるのは確かなんだけれど、E.L.O.を期待して聴くとむしろ肩透かしかもしれない。アルバムA面がPart 1、B面がPart2という全2曲のみ収録のマイク・オールドフィールド「チューブラー・ベルズ」方式と言うか、ジェスロ・タルの「ジェラルドの汚れなき世界」方式と言うべきか(笑)。プログレ風というよりはまるで架空の映画のサントラ盤とでもいうべき映画音楽風の作品で、全編インストなのだけど展開がドラマチックで全く退屈することなく通して一気に聴けてしまう。そして聞き終わった後はまるで一本の映画を見終わった後のような充実感が残る傑作です。壮大な一大音楽絵巻=ミュージック・パノラマとでも言うべきか。その冒頭でいかにも、というエレキ・シタールを弾いているのがロイ・ウッドです。百聞は一聴にしかず、ということでこちらを、と行きたかったのですがYou Tubeから削除されたようで、ニコ動にしかなくそれも残念ながらPart 2のみですが。このアルバムはストリングス・アレンジャーの作品らしくクラシック音楽からの引用が随所で聴かれるのですが、僕にはヴィヴァルディの四季「冬」と、チャイコフスキーの「弦楽セレナード」くらいしか分かりませんでした。若い頃にもっとクラシック音楽を勉強しておくべきだった(笑)。

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Sugar And Beyond:Anthology 1972-1974 /Lynsey de Paul

JUGEMテーマ:音楽

僕が最初にLynsey de Paulの名前を目にしたのは、以前こちらの記事にも書いた大好きなブルース・ジョンストンのソロ・アルバム「Going Public」を聴いたときのことだった。ここに収録された曲「Won't Somebody Dance With Me」を聴いて、いい曲だなあ、と思ってクレジットを確認したらブルース・ジョンストンのオリジナル曲ではなくカヴァー曲だったのだ。その後イギリスのバブルガム・ポップス系ソングライターであるトニー・マコーレイやクック&グリーナウェイあたりにハマっていた頃にブリティッシュ・ビート・グループ、フォーチュンズに辿り着いて、その代表的なヒット曲「Storm In A Teacup」がとてもいい曲だったので作者を調べてみたらそこにもリンジーの名があったのである。あとはロイ・ウッド、E.L.O.方面からリンジーのヒット曲「恋のウー・アイ・ドゥ」を知って、という感じなのだけど、他に有名なところだとグラムつながりでモット・ザ・フープルのヒット曲「土曜日の誘惑(Roll Away The Stone)」の途中でイアン・ハンターとセリフの掛け合いを聞かせてくれる女性の声の主、ということになるのかな。

とまあ、それなりに名の知れた女性シンガーソングライターであるにも関わらず、これまできちんとした形でリリース作品がリイシューされたことがなかったんですよね。それゆえこの「Sugar And Beyond:Anthology 1972-1974」と「Into My Music:Anthology 1975-1979」は、リンジー・ディ・ポールの活動期のリリース作品をレア・トラックも含めてほぼ俯瞰できるのが大変ありがたい2枚組の編集盤。ただ日本盤のみ紙ジャケ仕様ということで税込4,629円とべらぼうに高いですが、ライナーノーツを書いておられる若月眞人さんの解説がいつもながら非常に資料的価値が高いので、是非とも日本盤で揃えておきたいところです。自分はこの人をトッド・ラングレンやロッド・アージェントの関連作品の解説で知ったのだけど、この人が解説を書いているのなら少々高くても日本盤を買っておこうか、と思わせてくれる数少ない音楽ライターさんの1人ですね。若月さんの解説は知らなかったことを教えてくれて、忘れていたことを思い出させてくれて、見落としていたことを気付かせてくれる。作品レビューはかくありたい、というお手本のようなライターさんだと思います。いつもお世話になっています(笑)。

今回の紙ジャケ・リイシューで細かいクレジットを確認すると、ギターにゲイリー・ボイル(元アイソトープ)がいたり、キーボードにフランシス・モンクマン(元カーヴド・エア)がいたり、とプログレ、ジャズ・ロック好きにも新たな発見があったりして面白い。アレンジャーにはジェリー・シュリー(有名なのはルーベッツ。個人的に好きなのはソフトロック系のSteve&Stevie)がいたりするし。

先述した「Storm In A Teacup」なんかがまさにそうだけど、リンジーの書く曲というのはその多くがまるで「わらべ歌」のように親しみやすくてポップでキャッチー。そういう意味では職業作曲家としてのキャロル・キングあたりに近いかもしれないが、ロイ・ウッドやイアン・ハンターなど大物ミュージシャンと浮名を流した女性シンガーと言う意味ではセックス・シンボルとしてのデボラ・ハリーやカーリー・サイモンのような存在かもしれない。基本オーソドックスなピアノの弾き語り、という意味ではレーベルメイトであるギルバート・オサリバンにも似ているけれど、ここはひとつ「女エルトン・ジョン」と言い切ってしまいたい。こう言うと「はたしてエルトン・ジョンは性別=男性と言っていいのかどうか?」というややこしい問題になっちゃうんだけれど(笑)。

2012年は新譜をたくさん聴きました。〜(1)〜

僕の好きなミュージシャンというのは'60年代〜'80年代くらいに活躍していた古い人たちが多いので、普段好んで聴いているのは必然的に古いレコードばかりなのだけれど、去年はどういう訳か新譜をたくさん聴きました。一通り挙げてみると、ポール・マッカートニー、ジェフ・リン、ELO、グラハム・グールドマン、スクアケット(クリス・スクワイア&スティーヴ・ハケット)、アンダーソン/ウェイクマン、フォーカス、ジェスロ・タル、セバスチャン・ハーディー、ロバート・フリップ、ビーチ・ボーイズ、ブライアン・ウィルソン、アル・ジャーディン、ドリス・デイ、ロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ、ドナルド・フェイゲン、ボビー・ウーマック、マーク・ノップラーといったあたり。しかし見事に古いミュージシャンばかりですね(笑)。と言うか、これだけの古くから活動しているミュージシャンがこぞって去年新譜をリリースしてくれた、と言うこと自体がもはや奇跡的だと思うのです。個人的には何と言うか、とても充実した幸せな1年でした。
「キス・オン・ザ・ボトム」:ポール・マッカートニー
トミー・リピューマ(!)をプロデュースに迎えて古いスタンダード・ソングをジャズ・アレンジでカヴァーという着想そのものは、ブライアン・ウィルソンが2010年にリリースしたジョージ・ガーシュウィンのカヴァー集「ブライアン・ウィルソン・リイマジンズ・ガーシュウィン」と同じであろう(こちらは奇遇にもリピューマの右腕とも言うべきエンジニアのアル・シュミットがミックスを担当。僕のようなビーチ・ボーイズ・マニアのみならず全てのポップス・ファンへの贈り物とも言うべき名盤です)。さすがは英米を代表するポップ・マエストロのお二人、発想も似てくるのでしょうか。リピューマ人脈でゲストにダイアナ・クラール(エルヴィス・コステロの現在の奥方)を迎えているのだけど、ポールはかつてコステロともお互いのアルバムに参加しあったことがあるので、これで夫婦と共演を果たしたことになる、っていうのは何か面白いですね。僕は名曲「ベイビーズ・リクエスト」('79年のウイングスのアルバム「バック・トゥ・ジ・エッグ」に収録)のセルフ・カヴァーが入っているEU盤を購入したのだが、どうして国内盤からは削られているのだろうか?ジャズ・アレンジのカヴァー・アルバムにも親和性の高いオリジナルの楽曲だし、仕上がりもとてもいいのにもったいない。


「ロング・ウェイヴ」:ジェフ・リン
ソロ・アルバムとしては前作から何と22年ぶり(!)となるELOのジェフ・リンの新作も、古い曲のカヴァー集。22年も待たされてカヴァー集かよ、と(笑)ファンの間でも賛否両論あるようですが(先のポールのアルバムにしてもそうだけどこのテのいわゆる企画盤の宿命ですね)、その22年前の前作「アームチェア・シアター」でも古い歌のカヴァー自体は演っていた訳で(「セプテンバー・ソング」と「ストーミー・ウェザー」)、あのノスタルジックな雰囲気が好きだった僕には今回の新作もすんなりと受け入れることができた。オリジナル曲はないけど、どこを切ってもあのジェフ・リンの音が鳴っている。近年は自身の音楽活動よりはむしろ多くのミュージシャンのプロデュース・ワーク(ジョージ・ハリスンやトム・ペティなどトラヴェリング・ウィルベリーズ周辺や再結成ビートルズなど)で評価されてきたジェフ・リンの仕事を隅々まで堪能できる1枚。カヴァー集だけに選曲の妙がいろいろと興味深い訳だが(デル・シャノンやエヴァリー・ブラザーズはヒネっているのにロイ・オービソンが「ランニング・スケアード」とはまたベタやなあ(笑)、とか)、ちょっと面白いな、と思ったのはロジャース=ハマースタインの「もしも貴方を愛したら」で、この曲はジェフとともにELOを結成したロイ・ウッドがプロデュースしたアニー・ハズラム(ルネッサンス)の'79年のソロ作「不思議の国のアニー」でも採り上げられているのですよね。ELOの1stを最後に袂を分かつことになったとは言え、ロイとジェフのその後の音楽活動には何かと多くの共通点を見いだせるのだけれど、こういうところでもつながっているというのが何とも感慨深い。


「ミスター・ブルー・スカイ〜ヴェリー・ベスト・オブ・ELO」:ELO
先のジェフのソロ作と同時にリリースされたELO名義でのこのアルバムは「ヴェリー・ベスト・オヴ」と銘打ってはいるものの編集盤ではなく過去のヒット曲を完全新録したリ・レコーディング・アルバム。ただしリ・レコーディングとは知らずに普通のベスト盤と間違えて買ってしまった初心者の方がいたとしても、買い直す必要はないんじゃないか?(笑)ってくらいほとんどオリジナルとの間違い探しレベルの完コピになってます。何でもジェフは現在レコーディング中だという新アルバムを2013年中にはリリース予定とのことで、そのためにはこのような自身の音楽的ルーツの再確認作業と過去の作品の再演というウォーミングアップが必要だった、ということでしょう。


「Love & Work」:グラハム・グールドマン
2000年にひっそりとリリースされた元10ccのグラハム・グールドマンのソロ作「And Another Thing...」はとても暖かくて、優しくて、10ccのファンの人たちが10ccのファンをやっていて本当によかった、と感じることのできるいいアルバムだった。ちなみにこのアルバム・タイトルは、グールドマンがまだ10ccを結成する前の'60年代後半に職業作曲家としてヤードバーズ(「フォー・ユア・ラヴ」「ハートせつなく」)やホリーズ(「バス・ストップ」)、ハーマンズ・ハーミッツ(「ノー・ミルク・トゥデイ」)らに楽曲を提供していた頃にリリースされた1stソロ作のタイトルが「The Graham Gouldman Thing」だったので、その32年後(!)にリリースされた2ndが「And Another Thing...」という訳です。しゃれてますね。裏ジャケは1stのジャケと同じ構図で撮影されていてまたニヤリ。その前作を気に入った人なら、今回の新作にも必ず感動するでしょう。このアルバムは10ccとしての活動停止後の80年代後半にWAXというユニットで活動を共にした故アンドリュー・ゴールド(2011年に急逝)に捧げられているのだけれど、その音楽性は'80年代という時代を感じさせるWAXのものとは違い、WAXでの活動後期で聴かれたようなアコースティックでシンガーソングライター然とした音の延長線上にある。ひとつ面白いと思うのは、クレジットにこのアルバムの制作に使用された全てのギターのモデルの名称が列記されているのだけれど、11曲目「Black Gold」はまんまシャドウズのような「エレキ」ギター・インストである。僕の好きなミュージシャンだとマーク・ノップラーやマイク・オールドフィールド、セバスチャン・ハーディーのマリオ・ミーロといったギタリストがハンク・マーヴィンへのリスペクトを表明しているのだけれど、グールドマンがこういう音楽への嗜好性を持っているとは知らなかった。プロコル・ハルムのマシュー・フィッシャーがソロ作でハンク・マーヴィンへのトリビュートを演っていたのにも驚いたものだが、イギリスのミュージシャンにとってシャドウズというバンドは別格ともいうべきルーツなのでしょうか。

トラヴェリング・ウィルベリーズ「コレクション」



ELO(エレクトリック・ライト・オーケストラ)のジェフ・リンというミュージシャンは、僕にとって最も思い入れの深いミュージシャンの一人である。最近ではELOというとすっかり「電車男」のテーマになってしまっていて(笑)、多くの若い人たちがELOというバンドの存在を知ってくれるのはいいことだとは思うのだけれど、あの曲(「トワイライト」)はELOのヒット曲の中でもかなり地味な曲の部類に入るので、「トワイライト」を気に入ってELOを聴いてみよう、と思った人が果たして「A New World Record(オーロラの救世主)」〜「Discovery」あたりの黄金期のELOを聴いたらどのように思うのだろう、と不安でもある。今やELOの曲の中で日本で一番有名な曲が、よりによって何で「トワイライト」なんだよ、という思いはある(笑)。いや決して悪い曲ではないんだけどさ。

トラヴェリング・ウィルベリーズというバンドは我々の世代なら誰でも知っている大物覆面バンド。その正体はボブ・ディラン、ロイ・オービソン、ジョージ・ハリスン、トム・ペティ、ジェフ・リンの5人。2ndの「VOL.3」は急逝したロイ・オービソンの抜けた4人で制作された。長らく廃盤で入手困難だった彼らの残した2枚のアルバムがようやくリイシューの運びとなった。マニアの間では1stの「VOL.1」と2ndの「VOL.3」の間に実はロイ・オービソンの抜けた穴を埋める形でデル・シャノンをメンバーに迎えてレコーディングされた「VOL.2」が存在していて、これまたデル・シャノンの自殺という不慮の事態によりお蔵入りとなってしまった、という都市伝説がまことしやかにささやかれていた。今回のリイシューではその「幻の」2ndが初めて日の目を見るのでは?ともっぱらの噂だったのだが、残念ながらただの噂にすぎなかったようである。その代わり(と言うのも何だけど)、今回のリイシュー・セットにはヒストリー・フィルムやミュージック・クリップを収めたDVDが特典として付いている。

そのヒストリー・フィルムにも解説があるのだけれど、そもそもこの夢のユニットが結成されたきっかけとなったのが、ジョージ・ハリスンの87年発表のシングル「セット・オン・ユー」とこの曲を収録したアルバム「クラウド・ナイン」の大ヒットによる復活である。そしてこの復活の「仕掛人」とも言うべき男がプロデューサーのジェフ・リンなのである。語弊を恐れずに言うのなら、ジェフ・リンという人物がいなければジョージ・ハリスンの奇跡の復活もトラヴェリング・ウィルベリーズの奇跡の邂逅も、もっと言えばその後のトム・ペティの傑作ソロ・アルバム「フル・ムーン・フィーヴァー」もなかったと思う。逆に言うとELO〜ジェフ・リンというアーティストに馴染みのない古くからのジョージやトムのファンは、あまりにオーヴァー・プロデュースとも言うべきこの2枚のアルバムにあまりピンと来なかったのではなかろうか?我々のようなELO〜ジェフ・リンの熱狂的なファンにとっては、どちらもジェフ・リンを隅々まで堪能できる至福のアルバムだったのだが(笑)(去年リリースされたトム・ペティのソロ「ハイウェイ・コンパニオン」はジェフ・リン色が薄めでイマイチだった(笑))。余談ではあるがトム・ペティの「フル・ムーン・フィーヴァー」からのシングル曲である名曲「フリー・フォーリン」をサンプリングしたティーンエイジ・ファンクラブとデ・ラ・ソウルのコラボレート・シングル「フォーリン」も実によかった。

ELOとしてヒットを連発していた70年代後半に続いて2度目のブレイク期を迎えていたと言ってもいいこの時期(80年代末〜90年代初め)ジェフ・リンはプロデュース業に旺盛で、他にもポール・マッカートニー、リンゴ・スター、ブライアン・ウィルソン、ランディ・ニューマンなどの大物ミュージシャンとも一緒に仕事をしている。これらの「ジェフ・リン・ワークス」とも言うべきプロデュース・アルバムでは、他にウィルベリーの一員ロイ・オービソンのアルバム「ミステリー・ガール」(90年)や「幻の」ウィルベリー、デル・シャノンのアルバム「ロック・オン」(91年)、そしてそもそものご本尊ジェフ・リン唯一のソロ・アルバム「アームチェア・シアター」(90年)も押さえておくべき名盤。こんなにも素晴らしい作品たちが、ちょっと前までのトラヴェリング・ウィルベリーズのアルバム同様現在では廃盤で入手困難というから残念というよりほかない。一刻も早いリイシューを望む。その時は我々マニアの為にデジタル・リマスター&ボーナス・トラック付でおねがいします(笑)。

今回のリイシューにはボーナス・トラックとしてデル・シャノンの「悲しき街角」のカヴァーが収録されていてジェフ・リンがリード・ヴォーカルを取っているのだけれど、これには「萌えた」(笑)。「萌える」という言葉は大変使えるいい言葉だと思うのだけれど、僕はこんな風に「好きなアーティストの未発表曲や未発表テイクを聴いたとき」にこそこの言葉を使いたい。本来の用法とは違うだろうけど。僕はELOのボックス「フラッシュバック」に収録された「ザナドゥ」(キャメロン・ディアスが雪の中を歩くソフトバンクのCMにも使われていたオリビア・ニュートン・ジョンの為に書かれたヒット曲)のジェフ・リンのヴォーカル・テイクにも萌えたし、「オーロラの救世主」の紙ジャケ復刻に収録された「テレフォン・ライン」の別テイクにも萌えた。ソロ・アルバム「アームチェア・シアター」のリイシューには、いったいどんな「萌える」ボーナス・トラックが付くのだろうと考えるだけで萌え死にしそうである(笑)。

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